スペイン史10講 立石博高 岩波新書 ISBN978-4-00431896-5 940円 2021年9月
スペイン史といっても、石器時代のアルタミラの洞窟とか、大航海時代の栄光と凋落とか、レコンキスタとか、ザビエルとか、最近(?)では市民戦争とフランコの独裁程度の歴史しか知らなかった。あと、カタルーニャとかバスクなど難しい問題も抱えているとか。
こういう類いの本ではやむを得ないし、こちらの基礎教養がないのが一番の問題だが、出てくる固有名詞がやたらと多くて覚えきれない。それでも、ヨーロッパの王政時代は、国も王の個人的な所有物で、王の結婚、王族間の都合でいろいろと”国”の形も変わることはわかった。
現在ではいつかの自治州にわかれているようだが、なぜカナリア諸島(ここの歴史に触れられていない)だけが、いちいち”スペイン領”カナリア諸島となるのかはわからなかった。
それにつけても、かつての栄光に包まれた大航海時代初期のスペインと、バルブの”栄光”(?)に包まれた日本、その絶頂の時代が終わった後の感じが似ていると思った。
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目次
第1講 「スペイン」の歴史の始まり 黎明期〜4世紀
1 イベリア半島の地政学的位置
2 先史時代のイベリア半島
3 古代地中海世界とイベリア半島
4 ローマ帝国と「ヒスパニア」の形成
第2講 西ゴート王国からアンダルスへ 5世紀〜15世紀
1 西ゴート王国
2 イスラームの進出とアンダルスの形成
3 イスラーム諸王朝の繁栄
4 ナスル朝グラナダ王国
第3講 多様性のなかの中世世界 8世紀〜15世紀後半
1 レコンキスタのはじまりとキリスト教諸国の形成
2 カスティーリャ王国の拡大
3 アラゴン連合王国の地中海進出
4 「三宗教の共存」
第4講 カトリック両王の統治からスペイン君主国へ 15世紀末〜16世紀
1 カトリック両王の同君連合
2 ハプスブルク朝スペインの誕生と発展
3 フェリーペ二世と「カトリック君主国」
4 大航海時代と「太陽の沈まぬ帝国」
第5講 スペイン君主国の衰退 17世紀
1 「スペイン君主国」と帝都マドリード
2 一六四〇年代の危機
3 ハプスブルク朝スペインの動揺と終焉
4 黄金世紀の文化
第6講 カトリック的啓蒙から旧体制の危機へ 18世紀〜19世紀初頭
1 スペイン継承戦争と新組織王令
2 カトリック的啓蒙とブルボン改革
3 フランス革命とスペイン旧体制の危機
第7講 革命と反革命の時代 19世紀前半〜1870年代
1 ナポレオンの侵略とスペイン独立戦争
2 カディス憲法から一八三七年憲法へ
3 寡頭的自由主義国家体制
4 第一共和政の誕生と崩壊
第8講 王政復古体制からスペイン内戦まで 1870年代〜1930年代
1 王政復古体制の成立と動揺
2 プリモ・デ・リベーラの独裁
3 第二共和政
4 スペイン内戦
第9講 フランコの独裁体制 1939年〜1975年
1 フランコ独裁体制の成立
2 国際社会への復帰と反共の砦へ
3 「経済の奇跡」から体制の終焉へ
第10講 民主化の進展と自治州国家体制 1970年代〜現在
1 民主化と一九七八年憲法
2 自治州国家体制の成立
3 社会労働党と国民党の政権交代
4 クオ・ヴァディス
あとがき
2021年11月記