ゲッチョ先生と行く沖縄自然探検

ゲッチョ先生と行く沖縄自然探検 溝口満 岩波ジュニア新書 ISBN978-4-00-500936-7 920円 2021年6月

 自然探検と謳いながらおもに生物の話に偏っている。ブラタモリ的な自然ではない。あと、こうした本によく見られるが、想定する読者の年代の子供たちを登場させ、彼らと知識ある大人との対話という形式で、話が進められている。こういう形式って本当に中学生・高校生の読者に受けているのだろうか。

 モノクロのイラストがたくさん載っていて、それ自身は趣があるのだが(子供たちがスケッチすることを期待している? でもスマホで簡単に写真が撮れる時代なので)、中学生・高校生が対象なら本文を削ってでも、カラー写真の方がよかったのではないか。さらに対話形式だとどうして情報が散漫になるので、ここは解説をもう少し詳しくして欲しかった。つまり、生物に偏るのは仕方ないとして、この生物はこうした特徴や不思議な点がある、そしてそれだからこそ貴重な生物だということを、丁寧に解説した方がいいと思う。

 辛口な評を書くと、沖縄自然探検ではなく、沖縄生物ガイドという内容の本だと思う。まあ、それでもいいとは思うが…。

 

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目次
はじめに
琉球(りゅうきゅう)列島地図/登場人物紹介
1章 沖縄島(おきなわじま)・南部
魚市場探検/ブダイとベラ/魚の観察/末吉(すえよし)公園の散策/カタツムリの調査/南の島のホタル/夜の公園/オオコウモリ・ウォッチング
2章 沖縄島・ヤンバル
ビーチの砂/ヤンバルの森/沢沿(さわぞ)いの小道で/日本一大きなドングリ/ヤンバルの里/夜の森
 ○コラム 渡嘉敷島(とかしきじま)と南大東島(みなみだいとうじま)
3章 与那国島(よなぐにじま)
与那国島へ/漂着(ひょうちゃく)種子(しゅし)探し/マメの王者/与那国島の浜めぐり/与那国島の森歩き/アヤミハビル館とティンダハナタ
4章 石垣島(いしがきじま)
白保(しらほ)の浜と津波(つなみ)伝説/サンゴの観察/イワサキの虫たち/森の生き物たち/夜の森の生き物たち/八重山(やえやま)のカエルたち
5章 西表島(いりおもてじま)
ジュゴンの骨/干潟(ひがた)の生き物探し/野生生物保護センター/西表島を散歩する/側溝(そっこう)の拾いもの/ウタラ炭鉱/夜の田んぼ
6章 宮古島(みやこじま)
不思議の島・宮古島/古井戸(ふるいど)探検/来間島(くりまじま)へ/伊良部島(いらぶじま)と下地島(しもじしま)/池間島(いけましま)のアダン文化/夜の宮古島
おわりに
生き物索引

2021年10月記

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