なぜ私たちは理系を選んだか

なぜ私たちは理系を選んだのか 枡太一 岩波ジュニアスタートブックス ISBN978-4-00-027235-3 1,450円 2021年5月

 日テレの人気アナウンサー枡太一が、理系の大学を卒業した人たちにインタビュー。相手は、山崎直子(宇宙飛行士)、下村実(四国水族館)、ゆきりぬ(youtuber)、海堂尊(作家)、渡邊典子(オリエンタルランド)、田島木綿子(国立科学博物館)、廣瀬俊朗(元ラグビー日本代表)の各氏。最先端の科学・技術を担う若手科学者・技術者がいないことが、この本の味噌だと思う。つまり、理系の大学を卒業しても、その進路は科学者・技術者にとどまらずに、広い選択肢があるということをいいいたいのだろう。本人も理系の大学院まで行った後に、アナウンサーになったわけだし。 

 いまの日本の現状では、若い人たちに理系への道、とりわけ研究者への道を勧めるのには、勧める方もそれなりの覚悟が必要だと思う。つまり、よほど優秀であり、かつ運がよくないと悲惨なことが多い。いわゆるポスドクとして40代、50代になっても、任期付きの職を転々とする不安定な生活、その職すらもないかもしれない。情熱だけではいかんともしがたい現状に直面せざるを得ないことがわかっているので。

 よほど実家が裕福であるか、何が何でも支えてくれる配偶者がいないと、かなり厳しい未来が待っていることになる。

 まあこうした中で、科学者への道を目指す人に、あえていいたいのは、自分を見失わないこと、社会の中の自分という位置をつねに把握すること、自分がやろうとしていることを客観視すること、科学は「真・善・美」を体現しているものではないことを意識し続けることなどかな。老爺心

※ この岩波ジュニアスタートブックス。学校図書館に入れてもらうという前提なのだろうが、対象とする中学生が自分の小遣いで買うとしたら定価が高すぎると思う。

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2021年6月記

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