見えない宇宙の正体

見えない宇宙の正体 鈴木洋一郎 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-521688-0 1,000円 2020年11月

 この宇宙の物質・エネルギーのうち、正体がわかっているのはいわゆる“物質”で、全体のわずかに5%だという。全体の27%がダークマター、いまのところ重力を及ぼすということ、光では見えない(黒いという意味ではない)、身の回りのそこら中にあるということしかわかっていない。さらに全体の68%がダークエネルギーというこれまた正体不明、でも宇宙の膨張の加速を引き起こしているらしいという程度しかわかっていない。

 この本の第I部では、これまでわかってきた宇宙についてを簡単に解説する。第II部ではダークマターに焦点を当てて、その正体を探ろうと観測に引っかける研究を続けてきた筆者が、その方法を解説する。とはいっても、まだだれも観測に成功していないし、正体もわかっていないので、この本にはまだ回答がないということになる。でも、未解決なことをこうしてきちんと提示することも、とても大事だと思う。

目次
はじめに
第I部 宇宙と人
第1章 宇宙は重力で満ちている
第2章 宇宙は静的ではない
第3章 宇宙は発展進化している(ビッグバン宇宙)
第4章 素粒子と宇宙
第5章 見えないものを見る
第II部 あるのに見えない「ダークマター」
第6章 宇宙の階層とダークマターの影
第7章 1933年の不思議
第8章 銀河の回転速度の謎
第9章 ダークマターの存在証拠があらゆるところに出てきた
第10章 正体は何だ
第11章 かつてのダークマター候補たち
第12章 最有力候補WIMPに陰りが?
第13章 ダークマターのダークホース?
第14章 しっぽを出さない見えないダークマター
第15章 終章 我々はどこにいるのか
図・画像クレジット
さくいん

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2021年3月記

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