「共食」の社会史

「共食」の社会史 原田信男 藤原書店 Isbn978-4-86578-297-4 3,600円 2020年12月(2021年3月第2刷)

 表題を見たときに”ともぐい”と読んでしまって、すごい本が出たと思った。もちろん”きょうしょく”である。

 神と一緒に食べることによって神と一体化する、身分の上下を踏まえてともに食べることによって身分の違い、また誓約を確認する、紛争の解決を確認するなどの意味があった。また一緒に食べることによって仲間であること、連帯感生まれる(同じ釜の飯を食った仲間)という役割もあった。同じ釜の飯を食うとか、“一味”とか。

 もちろん楽しむために一緒に食べるということも昔かあり、さらに貴族の世界にも”無礼講”もあったという。

 今日、コロナウイルス禍下で個食・黙食がいわれ、学校給食の場でも黙々と食べているのだろう。だいたい、校庭で子供たちがマスクをして遊んでいるのを見ると、大変な時代だなぁと思ってしまう。もうマスクをした顔が当たり前になって、マスクをとるいうことは下着を脱ぐのと同じ恥ずかしいことという感覚にもなっているという。

 この本の筆者の書き方と、自分の脳の思考形態が違うようで、読むのにかなり抵抗があった。またある時代の食事形態の話をしているときに、その例・証拠としてかなり時代を下った資料を示したりして(もちろんその時代のいい資料がないからなのだろうが)、こうしたことも読みづらい原因の一つだったのかもしれない。

目次
はじめに
序章 共食はいつ、なぜ始まったのか
第1章 神とともに食べる
第2章 火と共食の関係
第3章 共食という紐帯と誓約
第4章 支配と労働の節目における共食
第5章 身分の確認と共食
第6章 楽しみとしての共食
終章 近代における共食の変容 孤食と自立する個人

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2021年4月記

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