古代マヤ文明

古代文明マヤ 鈴木真太郎 中公新書 ISBN978-4-12-102623-1 960円 2020年12月


 マヤ文明については、その場所・時期もよく知らず、謎の文字を残した不可思議な文明、ただ高度な天文学の知識を持っていた文明という程度しか知らなかった。昔は解読することは不可能かもしれないといわれた文字がかなり解読されていて、歴代の王の名やその時代まで特定できていることに驚いた。さらに、元素の同位体比などを使って、その時代の食生活や移動までも推定している。


 頭部(頭蓋骨)変形や歯牙装飾など、さらに人身御供など、他の中南米でも見られる習慣・風習もある。どういう精神生活だったのだろう。また、人身御供を除けば平和な社会だったというこれまでの説は覆り、結構争いも多かった社会だったということも明らかになってきた。


 それにつけても、それなりに栄えた中南米の文明社会が、数百人規模のスペイン人武装部隊にあっさり侵略されてしまったことも、いろいろな理由はあろうが、不思議なことだと思う。ゲリラ戦に持ち込めただろうに。

目次
まえがき
序章 マヤ文明研究の歴史
第1章 考古学と形質人類学 バイオアーキオロジーの誕生
 コラム1 マヤ文明の歴史を辿る 時代区分について
第2章 南部周縁地 グアテマラ南岸地方 エルサルバドル ホンジュラス
 コラム2 古代マヤ文明とレンカ文化
第3章 人は動く 移民動態の研究
第4章 グアテマラ高地、マヤ王国の終焉
 コラム3 拡大する首都グアテマラシティー、失われる古代遺跡
第5章 古代の食卓 マヤご飯
第6章 ペテン地方 密林に眠る神聖王の群雄活劇
 コラム4 石碑を読む、マヤの暦と文字のいろは
 コラム5 密林を制する航空機の眼、ライダー技術が可能にする広域測量
第7章 古代マヤにおける戦争
第8章 灼熱のユカタン半島を行く
 コラム6 深淵の少女ナイア
第9章 肉体は文化を語る
 コラム7 DNAの研究
あとがき
主要図表出典一覧
主要参考文献

kodaimayabunmei-01.jpg (297763 バイト) kodaimayabunmei-02.jpg (142918 バイト)

2021年1月記

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