辞典語辞典 文:見坊行徳・稲川智樹 絵:いのうえさきこ 誠文堂新光社 ISBN978-4-416-52113-7 1,600円 2021年1月
辞書マニアがうんちくを語るというか、辞書業界の内輪話をばらすというか、という本。後者でいうと、CM業界の内輪話をネタにしたホイチョイ・プロダクション的なノリを感じる。
辞書編纂者たちの人数は限られていて、またその人脈が受け継がれていて、この業界は結構狭い世界だということがわかる。筆者の一人見坊行徳氏も三省堂国語辞典の初代編集主幹、見坊豪紀(ひでとし)氏の孫になる。
辞書に関係するものを網羅すべく、ゲームの世界(三省堂現代新国語辞典の柱見出しが“ファイナル−ファンタジーになったとか)や、アイドル(乃木坂46の鈴木絢音が辞書マニアとか)なども登場する。
かつてのコピー体質(先行する辞書の丸写し)を“暮しの手帖”に指摘され(1971年、メリヤスの意味が同じように間違っていたとか)、それに刺激された前文が載った「新明解」とか。新明解(三省堂「新明解国語辞典)の数え方、火炎瓶は一本、ゴジラは一匹とかは確かに面白かった。
※ ゴジラは一頭でもいいような気もする。
いのうえさきこの挿絵も楽しい。本文と全然関係ないが、奥付の日付の謎(実際よりかなり遅め)もこの挿絵で明かされている。
2021年3月記