人類史マップ

人類史マップ サピエンス誕生・危機・拡散の歴史 テルモ・ピエバニ バレリー・ゼトゥン著 エラリ−・ジャンクリストフ 篠原範子 竹花秀春訳 日経ナショナルジオグラフィック社 ISBN978-4-86313-481-2 3,200円 2021年1月(2021年4月第2刷)

 フランスの人類学の最新版。表題通り、人類の歴史、遺跡・証拠、言語、遺伝子の多様性などを世界地図上に展開している。そのために、人類は(何回も)アフリカを出発して拡散しいったこと、逆にいうと“人種”は幻想で、今世界中に拡散している人類は(人類の歴史上では珍しい)単一種であることを繰り返し述べている。でも、かつてはネアンデルタール人などとも同時期を過ごした過去もあることも述べている。

 どうしても、日本の人類学の本は、無意識的にも日本人の期限が念頭のあるだろうが、こうした外国の本を見ると、それが客観視できる。というか、ヨーロッパではアジアの中の日本という細かいことには気が回らないともいえる(日本人の起源は朝鮮半島経由のみ)。

 それにしても、どうして人類の祖先はアフリカだけから登場するのだろう。

 さらにどうして拡散していくのだろう。ベーリング海峡(この本では陸続きだった説)を渡った人類が、短ければわずか数千年で南アメリカの最南端フェゴ島まで到達したし、絶海の孤島だった南太平洋の島々まで到達したのだろう。

 この本では一世代でも少し移動すれば、それが何世代にも渡れば驚くべき距離の移動になるといっている。でもとても、それだけではすまないと思う。前に書いたこともあるが、人類のDNAには拡散願望がある遺伝子が組み込まれていて、何%かの割合で集団の中にそうした人が登場するのかもしれないと思っている。

jinruishimap-01.jpg (116561 バイト) jinruishimap-02.jpg (57281 バイト) jinruishimap-03.jpg (91039 バイト)

2021年6月記

戻る  home