時間は逆戻りするのか

時間は逆戻りするのか 高水裕一 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-520210-4 1000円 2020年7月(2020年10月第2刷)


 時間は本当に逆戻りしないのか、するとしたらどういうようにという問いに答えようとする本。質問自体は簡単で誰にもわかるが、本当は超難しい質問、まだ物理学でも解決できていない問題、それを平易に解説しようとしている。話題は相対性理論、量子力学に始まり、エントロピー、超弦理論や量子力学理論ばかりか認識論、“未来の記憶”まで。


 さらには脱線もあって(それだけ話題が広い)、あの謎の(?)数学者ラマヌジャンの話まで出てくる。もちろん時間の逆戻りとはまったく関係ないが。


 ただまだ解答(正解)はないので、答えを求めようとすると、肩すかしになる。まあ、泡宇宙の中には、この宇宙の物理法則が成り立たないばかりか、時間も可逆な宇宙もあるとか、その泡宇宙の中で“偶然”に恒星-惑星−生命の発生・存在を許す物理定数の宇宙(弱い人間原理)にわれわれがいて、この宇宙は時間が一方通行と解釈しておくしかないか。それにつけても、引力しかない(斥力は見つかっていない)重力(万有引力)と、一方にしか流れない時間は何か共通点があるのかもしれない。

 いずれにしても、2112年までに、ドラえもんが操縦するようなタイムマシンはできないことだけは確か。

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2021年1月記

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