地球以外に生命を宿す天体はあるだろうか

地球以外に生命を宿す天体はあるだろうか 佐々木貴教 岩波ジュニアスタートブックス ISBN978-4-00-027236-0 1,500円 2021年5月

 こういう本は難しいと思う。ある程度わかっている人にとっては、その知識を整理してまとめ直すのにはいいとして、対象とした中学生にとっては本当にわかりやすいものになっているかが問題だと思う。たとえば、この本でも天動説・地動説を説明する箇所で、「毎晩夜空を見上げていると、惑星はだんだん空を昇ってきて、そのまま沈んでいくかと思いきや、途中で逆戻りして、また進むという、変な動きをすることがある、」とある。これ、初めてこの類の本を読む中学生はわかるだろうか。一晩で、東から西に動いていた惑星が、途中から突然逆向きに、つまり西から東に動いて、また元通りに東から西に動くと読んでしまうのが自然だと思う。惑星の順行・逆行のイメージって、結構難しいと思う。

 あとはとくにないが、やはり中学生自身の感想をききたいところ。

 それと、もう系外惑星がたくさん(星の数ほど)見つかっている今日、地球外生命探査は、現在“地球型”生命に的を絞って探しているときちんといった方がいいと思う。いわゆる“ハビタルゾーン”に適応して進化してきた結果が地球型生命なので、地球型生命にとっては“ハビタルゾーン”が適しているのは当たり前。でも、この本でも少し書いてあるが、メタンが蒸発し、雲を作って、メタンの雪や雨が降る、そして流れてメタンの湖や海を作っている、ハビタルゾーンの外にある土星の衛星タイタンのような世界もあるわけで、そこには想像を絶する”生命”が存在するかもしれない。逆にどろどろに融けた高温のマグマの中、ケイ素(Si)の鎖で高分子を作って、それを材料とした生命とか。いずれにしても、我々の生命観が根底から覆る生命の存在も考えられる、というよりもその方が多いかもしれない。まあ、化学反応を生命のエネルギーとするなら、化学反応の場として何らかの液体の存在はあった方が有利だとは思うが、それすら“偏見”かもしれない。

 いずれにしても、最初に遭遇する地球外生命は、想像を絶する生命という方が確率が高い気がする。もっとも、それは生命とは認識できない存在かもしれない

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2021年6月記

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