地形と日本人 金田章裕 日経プレミアシリーズ ISBN978-4-532-36438-3 900円 2020年9月(2021年1月5刷)
章の見出しにもなっている「堤防を築くと水害が起こる」とか、「建築技術の進展によって建物そのものの安全性は高まっているが、大地震や大津波などの不測の災害が発生した場合、インフラストラクチャー関連被害はどうだろう。」とか、「その現象が繰り返され蓄積されてきた、限りない地形変化の一コマであったとしても、人々の生活の場でそれが起これば、極めて希な災害に結びつくことになった。」とか共感する部分が多い。
残念な点を挙げると、これは筆者の責任ではないが、新書版のサイズに細かい図を入れているので、年齢的に視力が衰えた身としては、その図の細部が見えないことである。
このような地味だと思われる本が、半年経たずに5刷というのも驚き。あと、内容と関係がないが筆者の姓、金田は”きんだ”と読むとのこと。
※ 「堤防を築くと水害が起こる」に共感しているといっても、堤防を築くことに反対しているわけではありません。念のため。かって川が自由に流れて作った扇状地・沖積平野に人が住む以上、堤防で流路を固定する、あるいは流路を変更することは仕方ない、その分コストをかけて堤防を守る、河川を整備することが必要だと思います。
目次
第1章 歴史地理学は「空間と時間の学問」
第2章 河川がつくった平野の地形
第3章 堤防を築くと水害が起こる
第4章 海辺・湖辺・山裾は動く
第5章 岸の効用。縁辺の利点
第6章 人がつくった土地
第7章 地名は変わりゆく
第8章 なぜそれはそこにあるのか
おわりに
参考文献
2021年3月記