バイアスとは何か 藤田政博 ちくま新書 ISBN978-4-480-07408-9 860円 2021年6月
バイアスの説明は難しい。この本では「認知とそのゆがみ」としていて、まあそうなのだろう。偏見とか思い込みとかも。真空管のグリッドにかけるバイアスと同じという方がイメージがわくかもしれない。あらかじめ電圧をかけておいて、ある特定方向の電流を増幅するというもの。“あらかじめ”と、“特定方向”が味噌だと思う。
筆者の専門は法律、なので法律関係(裁判など)に付いて具体的に考察を進めている。裁判員・裁判官はもちろん、理系研究者の専門についてだってバイアスがかかることはやむを得ないし、それを前提に、あるいは自覚していなけらばならないだろう。だれでもバイアスはあるし、バイアスは避けられない。
でも、この本では、人類はバイアスがあったからこそ生き残れたということも説いているて、少し救われる
目次
まえがき
第1章 バイアスとは何か
第2章 バイアス研究の巨人
第3章 現実認知のバイアス
第4章 自己についてのバイアス
第5章 対人関係のバイアス
第6章 改めて、バイアスとは何か
あとがき
参考文献
2021年7月記