やりなおし高校地学 鎌田浩毅 ちくま新書 ISBN978-4-480-07251-1 940円 2019年9月
FBの友達に、自分の本が参考文献としてあげられているということを教えてもらったので読んでみた。この本の特徴はセンター試験地学の問題をネタに、高校地学の範囲を解説しようとしているところにある。ただ、筆者あとがきにもあるように、高校地学の履修率はきわめて低い(筆者は5%としている)ので、この本で”やり直す”人は少なく、いきなりセンター試験の問題を見せられても戸惑う人の方が多いのではないか。さらに、センター試験の問題を掲載すること自体でかなりの分量を割かれるために、解説する分野が削られてしまうという欠点もある。また、解説そのものも詳しくできなくなるために、説明不足になっている部分もある(たとえばコリオリの力とか潮汐力)。
地磁気の逆転(その途中の地磁気の消滅)と生物の進化(絶滅)はあまり関係がないと思う。過去7600万年間に地磁気の逆転が170回も起きているのに、そんなに生物は絶滅を繰り返してはいないので。
それにしても、取り上げられているセンター試験の問題、とくに追試験はの問題はあまり評価の対象にならないためか、細かい知識をきく悪問が多い(たとえば上麻生礫岩の生成年代など)。こんな問題が出るのかと、かえって高校地学の選択を躊躇されてしまうのではないかという心配までしてしまう。
目次
まえがき
第1章 地球とは何か
第2章 地球は生きている
第3章 地球の歴史を繙く
第4章 日本列島の成り立ち
第5章 動く大気・動く海洋の構造
第6章 宇宙とは何か
あとがき
参考文献
索引
2020年6月記