知りたい!ネコごころ

知りたい!ネコごころ 木佐保 岩波科学ライブラリー292 ISBN978-4-00-029692-2 1,200円 2020年2月

 擬人的にいえば「ネコ“心”」なのだろうが、あの手この手でネコの認知能力を確かめようとする研究。いろいろな実験方法が紹介されている。紐先に付けた餌をとるために、紐を引っ張らせる実験など、「たんに面白がって紐を引いただけ」という解釈もありなので大変そう。

 うちのネコを見ていると、ともかくあまり考えていない、行き当たりばったり、三歩歩くと忘れるというトリ頭ならぬ、ネコ頭のように思える。たとえば、不意に起きてきてご飯(餌)を要求してしつこく鳴いていても、暫く我慢させていると忘れてしまうようで、また寝てしまったり。

 ただ、ご飯を入れるお皿の前でおとなしくお行儀よく座っていると、そのうち餌をもらえるということは学習したみたい。まあ、要求するのは餌とブラッシング。あとは気ままな性格。こちらとしても気が楽。

 それにつけても、この本の実験でも使われている”チュール”すごい発明ではないかなぁ。大好きというネコしか知らない、嫌いなネコはいないみたいです。あと、猫カフェも、こうした研究のサンプル集めには欠かせないそうで、こうしたところでも役に立っているようです。でも、行ったことないので、よくわかりませんが、サンプリングが偏る危険性についてはどうなのだろう。

 筆者は同志社大学から京都大学大学院に進んだそうで、京大の自由な雰囲気に驚いていることにびっくり、同志社も結構自由な雰囲気の大学と思っていたので。最近の大学の事情はよくわからないが、もしかすると、京大の雰囲気は化石的になっている? だとしたら大問題だと思います。

 いずれにしても、挿絵のネコが可愛い。

※ p.44にgoogleの論文検索用エンジンに「巨人の肩に立つ」という言葉があるそうです。論文検索などしたことないので、この本で始めて知りました。この言葉自体は、ニュートンの言葉(ライバルとしてよりも敵対者として認識していたフックへの手紙)として有名ですが、ニュートンの創作ではなく当時の成句で、これについては青木薫氏の解説もあります。

https://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja

https://www.s-yamaga.jp/nanimono/sonota/newton.htm

目次
第1章 ネコ研究ことはじめ
第2章 ネコだって、思い出にふける
 ◆ コラム  賢いウマ、ハンス
第3章 ネコだって、推理できる
第4章 ネコだって、人を思う
第5章 ネコだって、進化する
あとがき
参考文献
イラスト=いずもり・よう

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2020年4月記

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