草原の制覇 大モンゴルまで(シリーズ中国の歴史(3)) 古松崇志 岩波新書 ISBN978-4-00430806-4 840円 2020年3月
筆者はユーラシア東方史という分野を提唱してる。たしかにこのあたりの歴史は、とくに日本においては中国との関連で登場し、まとまったものはあまりない。少なくとも素人向きのものは初めてかもしれない。
匈奴から始まり、つねに中原を圧迫する存在だったユーラシア東方の遊牧民族(騎馬民族)。なかでも鮮卑(→北魏・唐)、女真(→金(南宋と並立))、モンゴル(→大元ウルス)、女真(マンジュ→清)と中国を征服したものたちもいる。
古代日本と関係がが深い渤海や、朝鮮半島の高句麗、新羅、百済なども、中国との関係だけではなく、こうした騎馬民族の動向との関係も見る必要があることがわかる。あと、この本では新羅(しんら)、百済(ひゃくさい)とルビが振ってあるが、これが今はふつうの読み方なのだろうか。
南京の蒋介石の国民党政府時代はまだ北には北洋軍閥(騎馬民族の末裔?)がいて、彼らがその地を実効支配していたこととを考えると、毛沢東の中国共産党政権になって、ようやく明以来の漢民族の中原奪還(中国統一)がなったとも見ることもできる。その中華思想によるウイグル族、チベット族への弾圧は、過去の意趣返し?
この本の内容とまったく関係ないが、挟まれていたしおりに、「反面教師」という言葉は、1956年に毛沢東がアメリカを指して、「全世界人民の反面教員」と使ったのが最初の例だとあった。
目次
はじめに
序 章 ユーラシア東方史と遊牧王朝
一 中央ユーラシアの騎馬遊牧民
二 遊牧と農耕が出会うユーラシア東方史
第一章 拓跋(タブガチ)とテュルク
一 鮮卑拓跋部と北魏
二 唐と突厥の興亡
三 安史の乱の激動
第二章 契丹と沙陀
一 契丹の建国
二 沙陀の勃興
三 沙陀系王朝と契丹
第三章 ?淵の盟と多国体制
一 ?淵の盟への道
二 タングト・西夏の台頭
三 契丹情勢と北宋の西北経略
第四章 金(女真)の覇権
一 女真の勃興
二 金の覇権とユーラシア東方情勢
三 金の変革と北方情勢
第五章 大モンゴルと中国
一 大イェケモンゴル国ウルスの建国と拡大
二 クビライと大元ウルス
三 ユーラシアの東西交流と中国
おわりに
あとがき
図表出典一覧
主要参考文献
略年表
索 引
2020年4月記