コロナ後の世界を生きる

コロナ後の世界を生きる 私たちの提言 村上陽一郎編 岩波新書 ISBN978-4-00-431840-8 900円 2020年7月21日

 この企画に参加した人たちの原稿が5月段階のものが多いので、筆者たちには少し想定外(6月末からの”第2波”)というか、不本意になってしまったものが多いだろう。

 正直なところ、う〜んこれはなるほどというような提言は少ない。つまり、わりと常識的な提言が多い。逆にこれはちょっとというものならある。マスコミに露出する知事に対する評価、派手な動きではなくその内容を評価しないと。天皇に期待する人もいて、あれっとなる。

 一番興味深かったのは山口香氏、彼女はかなり早くからこの夏の東京オリンピック開催に異議を申し立てていた。さらにここではオリンピックそのものへの疑問も投げかけている。こうしたアスリートの”社会的発言”を聴く機会があまりないので。

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編者の言葉
T 危機の時代を見据える
 藤原辰史 ◆ パンデミックを生きる指針――歴史研究のアプローチ
 北原和夫 ◆ 教育と学術の在り方の再考を
 高山義浩 ◆ 新型コロナウイルスとの共存――感染症に強い社会へ
 黒木登志夫 ◆ 日本版CDCに必要なこと
 村上陽一郎 ◆ COVID―19から学べること
U パンデミックに向き合う
 飯島 渉 ◆ ロックダウンの下での「小さな歴史」
 ヤマザキマリ ◆ 我々を試問するパンデミック
 多和田葉子 ◆ ドイツの事情
 ロバート キャンベル ◆ 「ウィズ」から捉える世界
 根本美作子 ◆ 近さと遠さと新型コロナウイルス
V コロナ禍と日本社会
 御厨 貴 ◆ コロナが日本政治に投げかけたもの
 阿部 彩 ◆ 緊急事態と平時で異なる対応するのはやめよ
 秋山正子 ◆ 訪問看護と相談の現場から
 山口 香 ◆ スポーツ、五輪は、どう変わるのか
 隈 研吾 ◆ コロナの後の都市と建築
W コロナ禍のその先へ
 最上敏樹 ◆ 世界隔離を終えるとき
 出口治明 ◆ 人類史から考える
 末木文美士 ◆ 終末論と希望
 石井美保 ◆ センザンコウの警告
 酒井隆史 ◆ 「危機のなかにこそ亀裂をみいだし、集団的な生の様式について深く考えてみなければならない」
 杉田 敦 ◆ コロナと権力
 藻谷浩介 ◆ 新型コロナウイルスで変わらないもの・変わるもの
 内橋克人 ◆ コロナ後の新たな社会像を求めて
 マーガレット・アトウッド ◆ 堀を飛び越える

2020年8月記

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