「中国」の形成 シリーズ中国の歴史(5) 岡本隆司 岩波新書 ISBN9784-00-731808-8 820円 2020年7月
全五巻の中国史の最終巻。清から現代まで。清に詳しく、その後は駆け足。新書の一冊だからやむを得ない。四巻・五巻と日本の影が濃い時代だったという評価。
中国政府(北京政府)のやっていることは、清のやったこと。つまり、チベットや新疆の武力制圧(弾圧)、さらには台湾(現政権は虎視眈々)。清はそれでも圧倒的少数派(マンジュ族(満州族))政権であることを自覚していたが(それなりの遠慮=それぞれの地域に合わせた大幅な自治権)、北京政府は圧倒的多数派と自認している(そうでなけらばならないという建前)から、清以上の強権ぶり。毛沢東が秦の始皇帝を高く評価していたその延長、それ以上の中華思想。己が無謬であるというのは、かの政権政党の特徴でもあるが、それが実際に武力・経済力を持つ現在、恐ろしい存在だと思う。長く(地球科学的スケール)は続かないとは思うが、自分の目が黒いうちは無理か? でも、ソ連も長くは続かないが目の黒いうちは無理と思っていた。歴史は動くときにはドラスティックなので、どうなるか。
目次
はじめに――カオスのなかから
第一章 興隆
一 遼東
二 入関
三 沿海――互市
四 草原――モンゴル・チベット
五 隣国――ロシア・朝鮮
第二章 転換
一 到達――清朝の素描
二 雍正
三 限界
第三章 「盛世」
一 乾隆――その人・その時代
二 経済
三 社会
四 分岐
五 構造
第四章 近代
一 矜恃
二 暗雲
三 破綻
四 清末
第五章 「中国」
一 転変
二 民国
三 革命
おわりに――混迷の現代
あとがき
図表出典一覧
主要参考文献
略年表
索引
2020年7月記