地球を動かす超巨大火山 佐野貴司 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-257925-4 900円 2015年7月
買ったことさえ忘れていた。本棚を見たらあったので読んだ。ここでいう超巨大火山は、カルデラ噴火(破局噴火)どころではない、海においてはオントンジャワ海台を、陸においてはデカン高原(デカントラップ、デカン洪水玄武岩台地)をつくるような、大きさが地球規模ものである。こんな噴火が起きたら人類は生き残ることは難しいだろうが、幸いなことに数千万年以上の間隔、数億年の間隔であるので、破局噴火(日本の半分が壊滅する程度)ほどの心配はない。
筆者はこのような超巨大火山をつくるもととなるスーパープルームを基軸とする、スーパープルームテクトニクスの構築をもくろんでいるようだ。すなわち大陸の集合離散も、あるいは生物の大量絶滅もスーパープルームで説明できると考えているようだ。
前者については支持は多いのではないか。超大陸で蓋をされたマントルに熱がたまり、それがスーパープリュームを生み、そのスーパープルームが突き上がることによって超大陸が分裂・移動する。
後者についてはどうだろう。隕石衝突説が強い白亜紀末(K-Pg境界)以外の大絶滅の原因についてはよくわかっていないのが現状だろう。たしかにペルム紀−三畳紀(古生代−中生代)の境界のK-Pg境界以上の大絶滅をシベリア・トラップ(シベリア玄武岩洪水台地)の噴火が原因と考える研究者もかなりいると思いうが、現在はまだ消去法、つまり隕石の衝突などの痕跡が見つからないなどから残っている説だと思う。もっとも、筆者はK-Pg境界の大絶滅も、デカントラップが原因(の一部)という説を持っているようだ。
この本では、まだ何がわかっていないか、あるいは今後どのように研究を進めようと思っているかなども書いてあり、こうしたことは若い人たちの参考になると思う。
※ 目次は裏表紙側の帯にあるので省略。
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2020年4月記