地球科学入門 平朝彦 講談社 ISBN978-4-06-521690-3 2,500円 2020年11月
この本の大きな特徴は、「用語解説」が取り外し可能な別冊になっていることだ。本文を読みながら、同時に用語解説を参照できる。
さらにもっと大きな特徴は、Webと連動していることだ。より突っ込んだそれぞれの専門家のコラムの本文や、さらにはたくさんの解説動画(youtube)などを、本文のQRコードで読み取ったリンク先で読んだり見たりするようになっている。かつてミニCD付きの本もあったが、ミニCDに動画をたくさん収録するのはとても無理なので、こうした方式になったのだろう。ただ、残念なのは、スマホの場合はQRコードでいいのだが、パソコンの場合は冒頭にある特設サイトのURLを打ち込まなくならない。結構長いアドレスで、何回かはじかれた。ふしぎなのは、講談社のこの本を紹介しているサイトに、このURLが載っていないことだ。せっかくのこの本の売りなのだから、下のURLをリンク付きで載せてほしかった。
https://bluebacks.kodansha.co.jp/.../9784065216903/appendix/
カラフルな本(図ばかりは本文にも色)で、“入門”とあるから、市民向けの入門書かと思うと大間違い。市民といっても、タモリ並みの地球科学に対する興味と知識がないと読むのは難しいと思う。つまり、大学の、それも学部以上(今は多くの大学で教養部がないから同じか)、あるいは大学院の教科書でもいいくらいのレベル。本文に色(青色)がついた用語が、別冊で解説されているもの、つまり”ハイパーリンク”が張られているものになる。
筆者はかつて日本地質学会の会長も務めた人で、彼が書いた岩波の「地質学1〜3」は、地球科学関係の大学での地質学の標準的な教科書だと思う。その本人が、この本で書いているのでここで書いても問題ないと思う(当時は“箝口令”が敷かれていた?)。それは、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震で、浦安の彼の自宅が液状化の被害を受けたことだ。つまり彼のような知識があっても(浦安の多くの土地は、地震に際して液状化の危険性があること、これはいわば地球科学関係者では”常識”)、たぶんまさか近々そのような地震はないだろうと考えてしまったのだろう。ここにも防災の難しさを感じる。
※ 目次は裏表紙の帯参照
2020年12月記