ビジュアル数学全史

ビジュアル数学全史 クリフォード・ピックオーバー 根上生也・水原文訳 岩波書店 ISBN978-4-00006327-2 4,200円 2017年5月(2017年7月第2刷)

 物理全史の姉版。紀元前1億5000万年ころから2007年(原本は2009年発刊)までの数学(周辺)の話題250を取り上げて、年代順に各1ページで説明している。知らなかったものばかりか、説明を読んでもよくわからないものも多い。物理全史と重複しているものもある(当然)。

 ガウスやオイラー、ニュートンはいろいろな項目に名前が出てくる。彼らと同等に顔を出すのがポール・エルデーシュで、オイラー以上に論文を書いた人らしい。それも、共同研究者は511人に上るという。孤高の天才というイメージと真逆の人だった。もっとも、彼の業績(取り組んだ課題)は知らないものが多かった(シルヴェスターの直線の問題、ラムゼー理論、コラッツ予測、ギルブレスの予想など)。

 道具やパズルもでてくる。となると当然マーチン・ガードナー。ガウスたちを上回る項目に登場する。やはり、すごい人だったんだ。

 道具の中で使い方がよくわからないのが三棹分度器、測量の道具らしい。機械式計算機としてはパスカルのものが出ていなくて、クルタ計算機(1948年)が載っているのが意外。うれしいのがヒューレット・パッカードの関数電卓HP35(1972年)。復刻版のHP3sを持っているので。

 あと物理全史と違って、日本や日本(企業)の名も少しは出てくる。その中で項目になっているのは池田研介の池田アトラクター(知らなかった)と、算額の藤田貞資(項目内で深川英俊も)。円周率(π)の項目の中にはπの暗記で原口證氏の名も(この本では10万桁)。でも確か、もっとすごいと思ったのは、桁数では劣るが(4万桁)ランダムアクセスができる友寄英哲氏だと思う。

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2019年5月記

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