応仁の乱

応仁の乱 呉座勇一 中公新書
ISBN978-4-12-102401-5 2016年10月(2017年11月29版) 900円

目次
第1章 畿内の火薬庫、大和
第2章 応仁の乱への道
第3章 大乱勃発
第4章 応仁の乱と興福寺
第5章 衆徒・国民の苦闘
第6章 大乱終結
第7章 乱後の室町幕府
終章 応仁の乱が残したもの

 京都を少し離れた奈良興福寺の二人の僧、経覚(きょうがく)と尋尊(じんそん)が残した記録を軸に応仁の乱を俯瞰する。

 たしかに裏で全体を構想して、その特定個人の思惑通りに動いたという乱暴な陰謀論ではあり得ない状況が続いたことが納得できる。その人が背負った歴史的背景(家系など)とその人を巻く状況に縛られ、名誉としがらみとを考え、それ以上に自分の利益を優先して、ときによっては場当たり的に動いた、つまり主君に対する忠誠ではなく動いた(動ける)時代だったことがわかる。

 ちょっと”堅い”この歴史書が50万部近くも売れていることにびっくり。歴史系(歴史好き)の人たちの層の厚さがあるのだと思う。理系の方は、たとえば講談社ブルーバックスで50万部を超えたのは4冊、21世紀に入ってからは最多が25万部であることを考えると。

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2019年3月記

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