日本鉄道史 大正・昭和戦前編 老川慶喜 中公新書 ISBN978-4-12-102358-2 820円 2016年1月
1907年〜1945年8月までの日本の鉄道の黄金期。鉄道省ができた時代。海外にも進出した時代。代表があの満鉄。
蒸気機関車、電気機関車が国産化できるようになった時代でもある。とうぜん、輸入したものを分解して徹底的に調査した、つまり真似たわけだ。そして狭軌に限れば世界トップ水準に。海外の先進的技術を真似して(盗んで)、自国の技術としてそれをさらに発展させるということは、かつては日本がやっていて、いまは中国などがやっている。
黄金期のこの時代に、鉄道路線の整備と技術の確立(急勾配の解消、もともとは外国の技術だが自動連結と空気ブレーキ)をもとに、効率・安全性と、特急燕などに代表されるサービス向上が図られた。
狭軌vs広軌(標準軌)論争にはもう少し踏み込んでほしかった。まあ、戦前から広軌になっていたら、いまの新幹線はなかったかもしれない。
鉄道の大規模な国有化とともに、大手の私鉄も発展した時代。阪急や東横のように、沿線の宅地開発、娯楽施設の建設、行楽地と結ぶという現在の経営戦略が確立した時代でもある。
この本で書かれている期間はわずか40年間、つまり1945年〜現在(2019年)はもうその倍近い75年間になっている。鉄道にとっても激動の時代だった。
日本からヨーロッパへの鉄道旅、憧れる。世界が平和だったら、いっそ国境に意味がなくなったら実現できるのに。もちろん“パシナ改”に牽引された列車で。
目次
第1章 帝国の鉄道 国有化後の新体制
第2章 興隆する国有鉄道 輸送の充実
第3章 都市化の中で 通勤・通学から観光開発まで
第4章 大陸へ、ヨーロッパへ 東アジアの鉄道網と国際観光
第5章 大恐慌下の鉄道 様々な打開策
第6章 鉄道の戦時動員 しのびよる軍靴のもとで
あとがき
主要参考文献
略年表
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2019年5月記