火付盗賊改

火付盗賊改 高橋義夫 中公新書2531
ISBN978-4-12-102531-9 860円 2019年2月

 歴史家による書ではなく小説家による書なので、江戸時代という歴史・社会から“火付盗賊改”を解説するというものではなく、自分の小説の“ネタ”として蓄えてきた話を書いたという感じ。つまり、個々の話題(一次資料、二次資料を厳密に使い分けるのではなく)の羅列というもになっている。

 元々この辺の知識があれば問題ないのだろうが、それがない素人にはわかりづらいところもある。この本で取り上げた火付盗賊改の業績と失敗を表形式でまとめてくれるとありがたい。

 この本を読むと、火付盗賊改は裏帯の「悪を震え上がらせた猛者たち…」というものではとてもなく、そうたいした仕事はしていないし、逆にそうたいしたことでない失敗でも罷免させられる、収入は少ない、危険には直面する、あまりやりたくない仕事だったのだろうという印象を持つ。

 巻末の表によると、火付盗賊改は江戸時代(1665年〜1866年)の約200年間で206人(重複あり)もいたそうだ。長谷川平蔵は1787年〜1795年の長期在任。

目次
第一章 雲霧仁左衛門と安倍式部 物語と史実の間
第二章 据わりの悪い座敷 火付盗賊改略史
第三章 鬼勘解由と男伊達
第四章 火付盗賊改愚行録
第五章 大盗日本左衛門と徳山五兵衛
第六章 長谷川平蔵 捕り物名人と人足寄場
第七章 火付盗賊改の内幕 伝説から記録へ
第八章 矢部定兼と妖怪
後記
参考文献・引用書目
歴代の火付盗賊改

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2019年4月記

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