不自然な宇宙 須藤靖 講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-514465-7 1,000円 2019年1月(2019年2月第2刷))
Mulrtverseと人間原理。
宇宙は一つ(universe)ではなく、Multiverseであるという考える宇宙。我々の宇宙の物理定数・物理法則は、生命の誕生にとってあまりにもうまくできすぎている。たとえば我々の宇宙を支配する4つの力(重力、弱い力、電磁気力、強い力)の微妙なバランス(重力だけがきわめて弱いという不思議)、あまりにも不自然なバランス。もし重力がいまより強ければ恒星の核融合反応も速くなり、恒星はあっという間に一生を終えるので、生物が進化する時間がない。もっと重力が強ければ分子すらできない、 こうした物理定数・物理法則が微妙なバランスを持っているのは不自然だ。でも、我々の宇宙とは違う様々な物理定数・物理法則を持つ宇宙が無数にあって、たまたまその中の一つの宇宙が宇宙を解釈しようとする知的生命が誕生できる、その宇宙が我々の宇宙と考えれば不思議でもない。これが(弱い)人間原理。
この本では量子力学の世界観を代表する「シュレディンガーのネコ」のコペンハーゲン解釈「(箱を開けて観測したとたんに箱の中のネコ生死が決まる」ではなく、「<ネコが生きている箱を見ている観測者の世界>と<ネコが死んだ箱を見ている観測者の世界>」というMultiverse解釈ができるという話も紹介している。
なんとなく説得力のあるMultiverse説だが、最大の問題は我々の宇宙とはまったく無関係の宇宙の存在をどう確認できるのかだと思う。
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2019年4月記