ビジュアル物理全史

ビジュアル物理全史 クリフォード・ピックオーバー 吉田三知世訳 岩波書店 ISBN4-00-006334-0 2,400円 2019年3月

 物理のトピックス250を年代順〔紀元前138億年〜100兆年以降)に並べ、各1ページでそれらを解説・コメントをつけている。トピックスはもちろん物理の重要な原理・法則もあるが、現象や道具・製品からおもちゃまでも含まれている(裏表紙の帯参照)。ニュートンやアインシュタインなどの大科学者は、いろいろな項目に顔を出す。各コメントは必ず1ページなので、説明がよくわからないものもある。

 訳注は各コメントの中で( )で書かれているので便利。元の記述はヤード・ポンドらしく、だいたい訳注でそのメートル・キログラムでの値を書いているので助かる(一部そのままのものもある)。

 トピックスの中には知っていたものもあるが、知らないものある。こんなものまで載せるのかというものから、これは載せないのかというものもある。たとえば電波関係のもの、無線通信、ラジオ、テレビから携帯電話といった今日の世界では欠かせないものが載っていなかったりする。モーター・エンジンなどやカメラ関係のものも載っていない。

 アイススケートがなぜ滑るのかについては、まだよくわかっていないことがわかった。

 シリーパーティ(日本ではミーバという名で売られていた。粘弾性がよくわかる物質)や水飲み鳥(平和鳥)が載っているのはうれしい。その水飲み鳥は1945年にベル研究所のM.V.サリヴァンが発明し、1946年に特許を取ったとある。でもたしか、アインシュタインが日本に来日したとき(1922年11月17日〜12月29日)にプレゼントされ、でも動作原理がわからなかったという逸話がある。これは本当のようだが、水飲み鳥が日本で発明されたかはわからないそうだ。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22914002/

 日本人の名は、朝永振一郎と崎田文二(知らない人だった)しか出てこない。そんなものかもしれない。

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2019年5月記

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