生命の起源はどこまでわかったか

生命の起源はどこまでわかったか 高井研編 岩波書店
ISBN978-4-00-006484-8 2018年3月 1,700円

目次
はじめに
第1章 深海に私たちのはじまりを探して
第2章 地球生命はこうして生まれた
第3章 宇宙に生命を探す
第4章 特別座談会 私たちは宇宙に生命を探します(高井研×矢野創×田村元秀)
チャレンジャーコース 生命の起源研究7つの論点(高井研)

 自分のWeb程度のレベルなら、根本的な書き換えをしなくてよさそうなので安心しました。この本は最後のハードボイルドな解説編(←高井氏)「生命の起源研究の7つの論点」だけでもいいような感じです。「誕生した生命が存続する可能性」というのは大事な視点だと思います。これまではなぜ絶滅したのかということに力点が置かれていたので。

 もっとも、高校生などこれから研究職を目指そうという人たちには、研究の息吹がわかる第1章から第4章も参考になると思います。ただこの部分、とくに第1章の岩石については、少し用語の使い方やその説明に引っかかるところもあります。たとえば、マフィックの対語として酸性岩が出てきたり(マフィックの対語はフェルシック、酸性岩の対語だったらアルカリ性岩)、あと盛んに出てくる岩石・コマチアイトですが、鉱物組成(化学組成)はかんらん岩と同じ、深成岩のかんらん岩に対する火山岩です。岩石に馴染みがない人たちに対しては、こうした説明も欲しいところです。つまり玄武岩よりもっとマフィックな(FeやMgが多い)火山岩(だから超マフィック)。ただ、玄武岩の溶岩は今日でも噴出しますが、コマチアイトは地球(内部)がもっと熱かった20数億年前以前しかできなかった火山岩、マントルが部分溶融しでてきた玄武岩質マグマではなく、ほとんど全部融けたコマチアイト質マグマがもとになったものです。

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2018年3月記

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