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有名な今昔物語(全)の現代語訳。以後、7巻8巻が天竺部、9巻10巻が震旦部であるが、持っていない。
第3巻までが「仏法」、伝来してまだ間もない仏教(仏)が起こす奇跡譚。毎日一生懸命の修行を何年も何年も続けても、一瞬の気のゆるみで地獄に落とされたかと思うと、極悪非道な人生を送っていても、ほんのの一瞬仏を敬う気持ちを持っただけで救われたりと人生は難しいと思わせる。敬虔な信仰を持ち続けて人が死ぬときには仏が迎えに来る吉兆(妙なる音楽・香り・瑞光)があるという話があるかと思うと、それがキツネなどの仕業だったりと、いったい何を信ずればいいのか。
第3巻までにも「わらしべ長者」などの有名な話もあるが、面白くなるのは第5巻以降の本朝、世俗、宿報、霊鬼、悪行、雑事の部分。歴史上有名な人、(朝廷側から見た)平将門や在原業平なども出てくるし、市井のエネルギー溢れる無名人も。男女・夫婦のモラルも現在とはまったく違うようだ。また、当時の日本は治安もあまり良くなかったこともわかる。最後に出てくるのはかぐや姫。いずれにしても、たいした量の話を集めたものだと思う。
2018年2月記