地球と生命−地球環境と生物圏進化−掛川武・海保邦夫 共立出版現代地球科学入門シリーズ15
ISBN978-4-320-04723-5 2011年9月 3,400円
地球の歴史において、過去6回(あるいは7回)の生物大量絶滅があった。この本でも当然それは触れられている。最後(最新)の大絶滅事件は6600万年前のいわゆるK/P境界(中生代白亜紀と新生代古第三紀の境界)である。
他の大絶滅事件と違って、ここだけは原因がわかっていてそれは隕石衝突とされている。隕石が衝突したために地球環境が激変した、その内容は大量の水蒸気と塵が成層圏に舞い上がり、光合成の中止、酸性雨、世界的規模の森林火災(煤がさらに太陽光を遮る、気温低下(その後の気温上昇(森林火災と衝突で発生した二酸化炭素、)、海水中の溶存酸素の減少などを挙げている。
※ このあたり、とくに気温の変化についてはもう少し検討が必要だと思います。
この事件で恐竜とアンモナイトの100%が絶滅した。逆にいうと生き延びた生物(種)もいることになる。この本ではそのあたりの説明も試みている。すなわち当時はまだ小さいサイズのものしかいなかったほ乳類や小型は虫類は穴に潜って難を逃れることできたとしている(河川にすむワニ・カメや海でも表層より深いところは影響が小さかったのでそこに住む海生生物は生き残った)。植物は種子・胞子で生き残れた。で、選択的な絶滅が説明できるとしている。
※ ここでもすぐに疑問。恐竜だって子どもころは小さかったはず、恐竜(は虫類)ならほ乳類、さらには鳥類よりも基礎代謝が少ないので、食糧難を乗り越えられやすいはず。なぜ基礎代謝が低いはずの恐竜が絶滅して(恐竜全部が恒温動物ではなかったはず)、基礎代謝が大きい鳥類が生き残っている不思議。
自分自身は昆虫食がポイントかと思っています。鳥類も当時のほ乳類も、多くは昆虫食だったはず。昆虫なら光合成がしばらく途絶えても、枯れ木などのセルロースから栄養を取れたはず(シロアリのイメージ)。そうした昆虫を食べて生き残ったのではないかと。海生生物についてはよくわかりません。アンモナイトと同じような形・生活をしているオウムガイは生き残っているわけだし。
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2018年3月記