山はどうしてできるのか 藤岡換太郎 講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-257756-4 880円 2012年1月
目次
はじめに
準備運動 世界一高い山やエベレストか
一合目 山を見るための4つの視点
二合目 山の高さとは何か
三合目 論争の夜明け
四合目 大陸は移動する
五合目 プレートとプルーム
六合目 山はこうしてできる (1)
断層運動、付加体、大陸衝突ほか
七合目 山はこうしてできる (2) 火山活動
八合目 山はこうしてできる (3)
花崗岩、蛇紋岩、石灰岩の山
九合目 日本の山の成り立ち
十合目 プレートの循環、山の輪廻
題材はいいと思うし、社会人が読むのならとくに問題はないが、中学生・高校生には勧めづらい。たとえば密度の単位をSI単位系に従って、×103kg・m-3とまでしなくてもいいかもしれないが、g/cm3とg/ccが統一なく使われていたりとか、あと下のような間違い(説明不足)も気になる。
p.34 ギョー(平頂海山)
平頂海山の研究をしていた19世紀の地理学者ギョーの名前を取ったもの
→1946年にHess,H.H.が北西太平洋から160 個の山頂の平担な海山を発見し,19世紀の地理学者A rnold Guyotにちなんでギヨ―と命名した(海上保安庁
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/index.htm)
p.39 ダイナモ理論
液体である外核が地球の自転によって回転
→液体である外核の対流が地球の自転によって生ずるコリオリの力のよって複雑な運動となり
p.79 ウェゲナーの死因
心臓発作に見舞われ
→1930年11月1日、ちょうど50歳の誕生日に、ウェゲナーはグリーンランド人のビルムセン(R.Villumsen)と2人で、400kmはなれた西岸の基地へ戻るために-54℃の雪嵐の中を出発した。しかし悪天候のために2人は遭難し、基地へ帰りつくことはできなかった。翌年5月になってから、捜索隊がウェゲナーの遺体を基地から190kmはなれた氷の中から発見した。ウェゲナーは心臓発作か何かで死亡し、ビルムセンは彼の遺体を埋葬した後に1人で基地に向かったらしい。しかし、ビルムセンの行方は結局わからず、また彼がウェゲナーの日記を持ち去ったために遭難当時の詳しい様子もわかっていない。(河野(1986)〔岩波書店、1〔ISBN4-00-005667-0〕(10-12p)、http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_PT_W1.html)
※ 直接の死因は心臓発作かも知れないが…。
P.101 固相線の説明
相平衡図(図5-3)は斜長石のもので、これは横軸が斜長石の成分(曹長石と灰長石の割合)、縦軸が温度というものである。だからリソスフェア−アセノスフェアの境界の説明とこの図の関係が意味不明になっている。本当は深さ(圧力)−温度の図でないと説明にならない。確かににここは説明するのが難しい部分。
p.145 富士山の貞観の噴火
山頂から溶岩が大量に流れ出て
→北西山腹の側火山長尾山から溶岩が大量に流れ出て(産総研地質調査総合センター http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/fuji.html#history)
p.159 昭和新山
三松正夫は、自宅の庭が毎日少しずつ変化して
→さらに昭和21年には、私財をなげうちこの土地を買い取ったのです。(有珠山ロープウェイ
http://wakasaresort.com/usuzan/shouwa/index.html)
※ 筆者は昭和新山に登ったとあるが、天然記念物&私有地なので立ち入り(登山)はできないはず。
p.187 沖縄の竜泉洞
玉泉洞? 龍泉洞という名の洞窟は岩手県のものが有名
2012年2月記