進化 カール・ジンマー 長谷川真理子日本語版監修 岩波書店
ISBN978-4-00-005467-6 5,600円 2012年5月
目次
監修者の言葉(長谷川真理子)
1 進化
2 生物学 自然哲学からダーウィンへ
【コラム】進化思想のルーツは「暗黒の中世」を突き抜ける(三中信宏)
3 岩石が語ること
【コラム全球凍結イベントが生物進化を促したか(田近英一)
4 系統樹
【コラム】文士系統樹とバイオインフォマティックス(田村浩一郎)
5 進化もたらす分子
【コラム】遺伝子にハマって進化する(小林一三)
6 変わっていく方補 突然変異、浮動、淘汰
【コラム】集団サイズや遺伝子流動が進化に与える影響を樹木に見る(飯田英典)
7 私たちの遺伝子に書かれた歴史
【コラム】種の系統関係と遺伝子の系統関係(颯田葉子)
8 適応 遺伝子から形質へ
【コラム】霊長類型3色型色覚をめぐる【謎】(河村正二)
9 種の起源
【コラム】視覚の適応による種分化(岡田典弘)
10 適応拡散と絶滅 時を経て変わる生物多様性
【コラム」鼠類の拡散と日本列島(鈴木仁)
11 緊密な種間関係 種はどのようにして互いに適応するのか
【コラム】ゾウムシの矛とツバキの盾の軍拡競争(佐々木顕)
12 性と家族
【コラム】共同を保つ個体の免疫と社会の免疫(辻和希)
13 進化医学
【コラム】人類進化と高血圧(井ノ上逸朗)
14 心と微生物 行動の進化
【コラム】ヒトの脳の進化の舞台裏(山極寿一)
読書案内(長谷川真理子)
図版出典
索引
【囲み記事】
科学とは何か
放射能の時計
科学における現在と過去
科学における事実と理論
科学者はどうやって進化を研究するのか
進化の研究ではないこと
現時点での「進化」をまとめた本。図版も多い。原書に対し、各章に日本人科学者による【コラム】が加わっている。人類の進化を独立に章立てをせずに、いろいろなところで言及するというスタイルを取っている。本文中に名の出る日本人進化学者は木村資生のみ。
気づいた間違い
p.17
ガラパゴス諸島は死火山群島
現在「死火山」という表現は使わない。http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/kazan-01.htmの「用語と補足説明」参照。もっとも、これは本質的なことでなく、ガラパゴス諸島は「死火山諸島」ではなく、一番北東のフェルナンディナ島は活火山が複数ある。
p.44
カリウム40→アルゴン38
カリウム40の11%は電子捕獲でアルゴン40(半減期12.5億年)になる。89%はβ崩壊してカルシウム40になるが、こちらは岩石中に元々あるものもあるので年代測定には使えない。
p.48
(プレートの沈み込み)沈み込むにつれてどんどん熱くなり、ついには融けてしまう。
マントルに沈み込んだプレートが融けることはない(一部はマグマになるが…)。http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/kazan-03.htm参照。
2012年6月記
颯颯颯