四季の地球科学 尾池和夫 岩波新書新赤1379
ISBN978-4-00-431379-3 760円 2012年7月
目次
はじめに
第1章 太陽と地球と月と
第2章 地震と噴火の日本列島
第3章 森と里と海の国
第4章 日本海と日本列島
終章 ジオパークの愉しみ 見る・食べる・学ぶ
参考文献
京大総長を務めたこともあり、俳人でもある地震学者による“ジオエッセイ”。エッセイなので体系的に地球科学を解説しているわけではない。時間があるときに気楽に読むような本だと思う。
重箱の隅
p.18 水の密度
水は摂氏4度で密度が最大になり…氷点近くまで冷えた水は底に溜まらず…中の水はそのまま液体で、…海や湖や川に生物が生きていられる…
→海水は塩分を含んでいるので、4℃では密度最大とはならない。海水程度の塩分濃度(35‰)だと、-3℃くらいで密度が最大。また、摂氏何度よりも、SI単位系に従い何℃と表記する方がいいと思う。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/kaisui-daijunkan.htm
p.119 上弦の月と下弦の月の説明
この説明だと西の空に沈むときの弦が上か下かで上弦、下弦という名前がついたように誤解される。月の前半、後半の月という意味。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/uchu/tsuki-02.htm
p.121 スーパームーン
説明は間違いではないが、満月の位置の時に地球に最も近づいて(近地点)大きく見えるということは、新月の時にはその反対側(遠地点)にいることになるので、この年(2012年)の「5月21日の日食の時には月の見かけの大きさは小さく、つまり太陽を完全に隠すことはできなく、金環食になった。」という説明も欲しかった。
p.166 海水の大循環
潮汐力による作用が加わって、摩擦熱が発生し…
→「摩擦熱」?
2012年10月記