ガロア 加藤文元 中公新書
ISBN978-4-12-102085-7 840円 2010年12月
もくじ
はじめに
第1章 少年時代
1 ガロアとその家族
2 リセでの生活
第2章 数学との出会い
1 数学者ガロア誕生
2 ルジャンドル『幾何学原論』
第3章 数学史的背景
1 エコール・ボリテーク
2 西洋数学の流れ
3 方程式を解く
第4章 デビューと挫折
1 <数学者ガロア>デビュー
2 二つの不幸
3 エコール・ノルマル入学
第5章 1830年
1 七月革命
2 革命の傍らで
3 放校
第6章 1831
1 三度目の論文
2 「ルイ・フィリップに乾杯!」
3 獄舎の中で
4 ガロアの黙示録
第7章 1832年
1 恋愛事件
2 決闘
あとがき
参考文献
ガロアマニアによるガロアの伝記。われわれの世代のガロア像はインフェルトの「ガロアの生涯」の影響が強いと思う。そこで悪者になっていたコーシーは、じつはそうではなくガロアを正当に評価していたが、たまたま運悪くガロアの論文をフランス科学アカデミーに提出できなったということになっている。むしろガロアの論文を握りつぶしたのは、フーリエやポアソンだという。いずれにしても、決闘の真相が明らかになったわけではないが、陰謀説には懐疑的。
ガロアマニアと自称する筆者の立場からか、客観的にもそうなのか、私には評価できないが、ガロアが描いただろう世界は、その後の数学をも包み込むものだったという。
重箱の隅:p.38 <「メートル」は、地球の北極から赤道までの子午線の長さの一万分の一を「1メートル」とすると定めた」→「「メートル」は、地球の北極からパリを通って赤道までの子午線の長さの一千万分の一を「1メートル」とすると定めた」
2011年1月記