96%の大絶滅

96%の大絶滅 丸岡照幸 技術評論社
ISBN978-4-7741-4205-0 1580円 2010年4月

もくじ
はじめに
第1章 環境変動と大量絶滅
第2章 白亜紀−第三紀(K-T)境界の大量絶滅
第3章 隕石衝突と環境変動
第4章 ペルム紀−トリアス紀(P-T)境界の大量絶滅
第5章 過去の大量絶滅イベントと現代の「大量絶滅」との比較
主な参考文献

 恐竜が絶滅したK-T境界の絶滅と、それ以上の大量絶滅だったらしいP-T境界の絶滅について書かれた本。

 K-T境界の大量絶滅は、ほぼ隕石衝突説で決まりのようだが、隕石衝突がどのような環境変動を及ぼしたのかについてはまだ議論が続いている。ちり、硫酸ミストによる太陽光遮断、硫酸ミストによる酸性雨、山火事によるCO2やメタンの温室効果、石灰岩に衝突したとするとそこから発生するCO2などが考えられるが決定打はない。光合成がかなり長期間停止したことは確からしい。

 それよりも不確かなのが、P-T境界の大量絶滅だろう。海水中のO2濃度がきわめて低くなったこと程度しかわかっていない。当時噴出したシベリア溶岩か、K-T境界のような隕石(あるいは超新星とか宇宙線とかの地球外)なのか。2億5000万絵のことであり、各説の証拠も少ない。

 それに対して、現在進行中の(人類による)大量絶滅は、上のようなものと比べると一桁小さいそうだ。ただしかし、その原因が地球環境を変えつつある(食物連鎖に関係ない生物までも絶滅に追いやる)ということは、シアノバクテリアの酸素放出以来のことだという。

 シアノバクテリアによる、酸素放出については下のサイトを参照。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/taikitokaiyonorekishi.htm

2011年1月記

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