それでも地球は回っている 青木満 ベレ出版
ISBN978-4-86064-223-5 2200円+税 2009年6月
目次
プロローグ 地球はいまだに【止まっている】の?
第1章 古代の宇宙観
第2章 天球のルネサンス
第3章 静から動へ
エピローグ 古くて新しい年収視差物語
巻末データ 説派vs地動説派早見表
宇宙観変遷史略年表
参考文献
索引(人物索引を含む)
天動説派のそれぞれの人たちの宇宙観を詳しく解説している。しかし、なぜコペルニクスという人が、その時代に「コペルニクス的転回」を行えたのかという観点が薄い。単に「真理の追究」の結果ではないと思う。つまり、それまでの歴史、そして社会という背景を背負ってコペルニクスが登場したのだから。
全体として地動説=善、天動説=悪という雰囲気が読み取れてしまう。やはり、その時代の社会からの要請(遠洋航海者にとっての位置の測定)や、その時代の技術(観測を支える)などがあり、それぞれの時点でのそうした限界(またそれですんでいた)という面があると思う。
重箱の隅
p.92歳差の説明:地球とコマの回転の向きと、地球とコマにかかる力の向きも書いてあった方がいいと思う。
p.199だ円の離心率=だ円に限れば“(中心から焦点までの距離)÷長軸の長さ(半径)”の方がよく使われている。意味は同じだが。
p.238排水溝の渦:一般家庭の排水溝で、コリオリの力のよって渦の向きが決まるということはあり得ない。ここに書いてあるように、よほど慎重に検証しないと誤解を招く。http://www.s-yamaga.jp/nanimono/uchu/tentaitoshitenochikyu.htmの「用語の補足説明」の「コリオリの力とその影響」参照。
2010年12月記