ナチが愛した二重スパイ ベン・マッキンタイアー 高儀進訳 白水社
ISBN978-4-560-0262-7 2,400円 2009年1月
目次
主要人物一覧
著者からひとこと
地図
プロローグ
第1章 オテル・ド・ラ・プラージュ
第2章 ジャージー刑務所
第3章 戦時の島
第4章 ロナンヴィル
第5章 ヴィラ・ド・レ・ブルトニエール
第6章 グラウマン博士
第7章 暗号解読斑
第8章 モスキート
第9章 見えない目に監視され
第10章 降下
第11章 マーサが興奮した夜
第12章 収容所020
第13章 クレスピーニ・ロード三五番地
第14章 なんと華々しい死に方
第15章 フリーだとダイアン
第16章 アブラカダブラ
第17章 冒険が危険であるほど
第18章 密航者のスパイ
第19章 ジョル・アルベール
第20章 しけた花火
第21章 氷前線
第22章 リッツの若い女
第23章 破壊工作コンサルタント
第24章 リュテシアでの午餐会
第25章 帰国した蕩児の悪党
第26章 蟻地獄
第27章 破滅しつつある
第28章 工作活動終了
その後
著者あとがき
謝辞
訳者あとがき
ちんぴらが、戦争の時に活躍・大もうけ・無頼な生活を送る話
些細な事件で服役中に、収容所があった島がドイツに占領されている間に脱獄し、ナチ・ドイツのスパイを志願してそうなるが、イギリスに送り込まれたら即二重スパイとなると申し出て、ニセの破壊活動(モスキート製造工場)・情報を送り、イギリスでも(監視つきだが)リッチな生活を送る。またドイツに戻りドイツ側の人間であることを認めさせてリッチな生活を送り、再びイギリスに送られる。当時のナチ・ドイツはUボートの撃沈率が高まったのは新兵器のためではないかと思いこみ(じつは暗号が解読されていた)、またV1、V2の的中率を上げるために着弾地点の情報をほしがっていた。でも、彼は当然すぐにイギリス当局に出頭する。だが、既に戦争の体制は決まっていて、彼のような危険な放蕩者(ロンドンのソーホー地区の悪役と遊ぶ)やはんだん厄介者になり、その役目を終えさせられる。
戦後、ナチ・ドイツで彼をスパイとして育て、彼を最後まで信用したグラウマン博士(財産をなくした)と、戦後一時羽振りのよかった(後に財産を失う)彼は、彼の家で再開するが、そのときのグラウマン博士の心境は?
007シリーズの初期の監督テレンス・ヤングは実際にもイギリスの諜報泛組織の一員で、この二重スパイとも知り合いだったようだ。
2009年8月記