ダーウィンの思想 内井惣七 岩波新書
ISBN978-4-00-431202-4 740円 2009年8月
目次
まえがき
第1章 ビーグル号の航海
(1) ライエルに導かれるダーウィン
(2) ライエルから離反のきざし
第2章 結婚と自然淘汰説
第3章 ダーウィンのデモン 進化の見えざる手
第4章 種はなぜ分かれていくのか 分岐の原理
(1) ウォレスの影
(2) 分岐の原理とは
(3) フィンチのクチバシ
第5章 神を放逐 設計者なしのデザイン
第6章 最後の砦、道徳をどう扱うか
(1) ライエルの最後の砦
(2) 動物と人間の連続性
(3) 道徳性の起源
(4) 道徳性進化のシナリオ
(5) 動物のまつりごとと仁義
文献
あっさり神(知的創造者)を切り捨て、進化の概念を打ち立てたダーウィンの偉大さがよくわかる。寄り道のようなフジツボやランの研究も、進化に収斂していく。ともかく、人間と動物の連続性、人間だけが特別な存在ではないという概念を持てたことが、同じようなアイデアにたどり着いたウォレスをはるかにしのぐところだろう。そして、人間だけが特別という証拠であるとされた道徳性も、それがあった方が種の存続に有利だったにすぎないと喝破する。
今でも日本の一部に支持者がいるらしい、今西錦司“進化論=すみわけ論”に対する批判も明快である。
ダーウィンが進化という概念を打ち立てた歴史の本であると同時に進化の概念の説明の本。
2009年11月記