ウナギ 井田徹治 岩波新書新赤1090
ISBN978-4-00-431090-7 740円 2007年8月
目次
プロローグ ウナギを通して見えるもの
第1章 ウナギという生き物
コラム1 ウナギを「刺身」にできないわけ
第2章 産卵場所の謎を追う
コラム2 文学作品に登場するウナギ
第3章 ウナギを増やせるか
コラム3 ウナギの栄養価
第4章 欧州では絶滅危惧種?
コラム4 オーシャンフレンドリーなシーフードガイド
第5章 日本のウナギも減っている?
コラム5 地球温暖化とウナギの回遊
第6章 ウナギと日本人
コラム6 スペインのシラス料理
あとがき
参考文献
ウナギのレポート。この本でも言及されている産地偽装問題はその後も起きている。日本ではたくさんお手軽に食べられているという。私はそれほど食べてはいない(嫌いではない)。職場近くで大変においしいといわれていたお店は、結局行かないうちに店をたたんでしまった。
ウナギの産卵場所(グァム島北西部のスルガ海山付近)もほぼわかり、また卵から大人までの人工飼育も成功したという。だが、量産化・製品化にはほど遠い。そもそも、日本ではウナギが遡上し、生活できる場所も少なくなっている。
この本は手際よいレポートといいたいところだが、残念ながら記述の繰り返しが多い。もう少しすっきりできると思うが、そうすると2/3以下の分量になってしまう?
文学作品に登場するウナギがコラム2にあるが、私にとって一番印象深いのは、ギュンター・グラスの「ブルキの太鼓」の壮絶なウナギ釣りの方法である。小説でも映画でも。
2008年8月記