最新・月の科学

最新・月の科学 渡部潤一編著 NHKブックス
ISBN978-4-14-091115-0 1,070円 2008年6月

目次
はじめに 出村裕英
第1章 日本人は月をどう見てきたか 渡部潤一
第2章 月に踏み出した人類 出村裕英
第3章 月表層・地殻を科学する 出村裕英
第4章 月の深部構造に迫る 出村裕英
第5章 月に残された謎 「かぐや」以前 出村裕英
第6章 「かぐや」が迫る月の起源と進化 平田成
第7章 「かぐや」以後の月着陸探査と科学 寺薗淳也
おわりに 出村裕英

 アポロ以後一時途絶えていた月探査が、昨年の「かぐや」以降再び活発になってきた。この本はアポロ以後の成果を手際よくまとめ、「かぐや」以降の探査で何を調べようとしているのかを解説する。もちろん「かぐや」の成果がまとめられるのはまだこれからだろうが。

 なぜ、月は表・裏非対称なのか、形状中心と重心が2kmもずれているのはなぜか、月の内部構造はどうなっているのか(核はあるのか、マントルが2層に分離しているのは本当か)、ジャイアントインパクト説の確証は得られるのかなど、まだまだ課題は多い。

 第7章では有人探査の意義が語られている。有人探査は確かにメリットが大きいが、コストがべらぼうだになると思う。これはまさに、一般人がそれだけの支出を認めるか(支持するか)にかかっていて、そうしたいならこの本の出版など地道な広報が必要だろう。いずれにしてももう私は考えても仕方ない年齢なので、若い人の判断にゆだねたい。

 いずれにしても、ライト兄弟の初飛行(1903年)からわずか66年で月に到達したが、1969年から40年間の進歩は遅い? こういうものは階段的に発達するのかな。いまは地道な蓄積の時期?

2008年7月記

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