南京事件論争史 笠原十九司 平凡社新書
ISBN978-4-582-85403-9 840円 2007年12月(2008年1月2刷)
目次
序章 世界に注目される日本
第1章 「論争」前史
第2章 東京裁判 「論争」の原点
第3章 1970年代 「論争」の発端
第4章 1980年代 「論争」の本格化
第5章 1990年代前半 「論争」の決着
第6章 1990年代後半から現在 「論争」の変質
終章 真の学問的論争を願って
あとがき
年表 南京事件関係の書籍の出版
南京事件はなかったとした、あったとしても戦争では当たり前の小さな出来事としたい、そうした否定派(史料の検討をしない、史料を恣意的に使うなどのめちゃくちゃの歴史ねつ造者たち)は、数字が間違っている、写真が間違っているという部分だけを取り上げて、それだけで全否定という破綻した論理でいちゃもんを付けるしかない。だが、問題はそうした歴史改ざんを、政府(とくに歴史教科書調査官)がそれらの意見を取り入れようとしていることだろう。
なぜ日本軍がああした行為に及ぶに至ったかは、筆者らが指摘しているように、偶発的なものではなく、南京に至るまでの日本軍の苦戦からくる腐敗、将校に至るまでの国際的な知識・常識の欠如、また組織内の不祥事を隠蔽しようとする今日まで続く悪しき風習などがあろう。バブルのころの経済人は、形を変えてこれらを再生産していた? いまは?
2008年2月記