写楽

写楽 中野三敏 中公新書1886
ISBN978-4-12-101886-1 2007年2月

目次
はじめに 写楽はいつから謎となったか
第1章 江戸分化における「雅」と「俗」 写楽後追い前段
第2章 すべては『浮世絵類考』に始まる
第3章 齋藤月岑という人
第4章 『江戸方角分』の出現
第5章 『江戸方角分』と写楽
第6章 大円団
補章 もう一人の写楽齋
おわりに

 江戸時代の文化を専門とする歴史家の考察。文献とその背景を丁寧に解説しているので、直感に頼った推理よりははるかに説得力がある。

 「江戸名所図絵」の作者、齋藤月岑(げっしん)の証言(増補・浮世絵類考)、「俗称・齋藤十郎平衛、江戸八丁堀住、阿波候能役者」を、江戸時代の人名録(住所も)である『江戸方角分』、また阿波候の能役者が代々与右衛門と十郎平衛を交互に名乗ってきたこと、過去帳からも実在(没年も)わかったことなどから、その記述の信憑性を確認する。

2007年4月記

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