古事記の起源

古事記の起源 工藤隆 中公新書1878
ISBN4-12-101878-8 840円 2006年12月

目次
はじめに
序論 古事記研究の現在
第1章 古事記はどのように研究されてきたか
第2章 原型生存型民族の口誦表現モデルで読む
第3章 臣安万呂言す(記序) 激変の時代が突出させた復古思想
第4章 天地初めて発けし時 無文字の古層と文字の新層の交錯
第5章 イザナミの死 排泄物利用の技術革新
第6章 黄泉の国神話 死と折り合いをつける
第7章 スサノオ神話 分析を拒絶する混沌
第8章 ヤマトタケルの死 古層の死生観で読み直す
第9章 サホヒコ・サホヒメ 民族サバイバルから恋愛へ
第10章 志昆臣と袁祁命の歌垣 歌垣と政治の交錯
結 古事記と日本
おわりに

 古事記の起源を、話の内容に共通点の多い中国少数民族、あるいは東南アジアに求めている。また、その原型を、現在もかろうじて歌垣で残っている口誦表現モデルのものだったのだろうとしている。

 その可能性も高いが、こうした研究方法は難しいとも思う。つまり、いくつかの民族の神話と共通点があるという理由だけでは、古事記の起源を証明したことにはならない。世界中のあらゆる場所に残っている神話すべてを研究しないとダメだろうが、世界中あらゆる場所を現地調査するもの難しい。それにもう残っていない地域も多いだろう。

 だからやはり、こうした調査研究とともに、考古学的手法も併用し(協力し)、研究を進める必要があると思う。

 あと、オキナワ族、アイヌ族、ヤマト族という言葉が出てくるが、その内容についての記述は希薄である。

2007年1月記

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