戦後戦記

戦後戦記 佐野眞一編著 平凡社
ISBN4-582-82446-3 1,800円 2006年6月

目次
第I部 カリスマの残照を追って 佐野眞一
 第1章 栄光と挫折
 第2章 巨星と虚星
第II部 その人、その時代
 小西克哉、野田正彰、小田光雄、樋口恵子、山田昌弘
 小田桐誠、中村うさぎ、吉本隆明、保坂正康
 グラフ 折り込みチラシ+写真
第III部 対論 戦後日本人の豊かさと貧しさ 堤清二+佐野眞一
編著者あとがき
資料 中内功およびダイエー関連史・一般社会史年表
筆者プロフィール

 フィリピンで棄民され、一度は国家に一泡吹かせたかに見えたダイエー中内功は、結局その最後に再びその国家に敗れることになる。この本は中内功を追い続けた佐野眞一の総括本ともいえる。

 第1章は、平凡社広報誌「月刊百科」に断続歴に連載されたもののが多く、内容的な重複も多い。だが何回も紹介される中内のことば「戦争で一番恐ろしかったのは、隣に座っている日本兵だった。眠るといつ殺されるかと…」は説得力がある。

 第3章では堤清二が登場し、一見坊っちゃん風な堤が、札幌での展開をめぐってえげつなく動いたことも回顧する。この対談では、戦後間もない共産党東大細胞(共産党によって解散させられた)に、堤以外にも、読売の渡邊恒雄、氏家斉一郎、また日本史の網野善彦がいたことも話している。共産党崩れの学者はいいが、財界人は癖がありすぎる?

 350ページほどの大部の本だが一気に読める。

2006年6月記

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