ものの大きさ 須藤靖 東京大学出版会
ISBN4-13-064100-X 2,400円
目次
はじめに
1 科学する心
2 微視的世界の階層
3 宇宙の階層
4 微視的世界と巨視的世界をつなぐ
5 宇宙の組成
6 人間原理
7 宇宙論の進化
付録 大きな数と小さな数
関連図書
索引
なぜそれぞれのものは、それぞれの大きさを持っているのだろう。それは究極的には、なぜこの宇宙にこのわれわれが存在しているのだろう(存在できたのだろう)という疑問につながる。
宇宙は非常に微妙なバランスの大きさである定数(重力、電磁気力、光速など)の上に成り立っている。逆にいえばそうしたバランスのもとで、われわれが存在できている。もしかすると宇宙は沢山あって(マルチバース)、たまたまうまい定数の組み合わせでできているこの宇宙だからこそわれわれがいるという考えもある。
この本は、うっかりすると怪しい領域に入っていきそうな話題を、現代の科学からきちんと見直そうとするものである。
コラムみたいな脚注が楽しい。例えば晩年のエディントンの講演を聴いた学生が、指導教官に、「物理学者は年をとるとみんなあんな風におかしくなってしまうのでしょうか。」ときいたら、その指導教官は「エディントンは天才だからああなった。君は心配ない。」と答えた話など。
また、この本で「無料大数」以上の数え方あることも知った。「不可説不可説転」は10の(7×2122)乗とか。
2006年11月記