哺乳類天国

哺乳類天国 デイヴィット・R・ウォレス 桃井緑美子・小畠郁生訳
早川書房 ISBN4-15-208750-1 2,500円 2006年7月

目次
謝辞
プロローグ 壁画と化石と
1 カタコンブの厚皮動物
2 ジキル博士とストーンズフィールドの顎
3 哺乳類の起源
4 高貴なる征服
5 恐ろしい角と鈍い脚
6 ミスター・メガテリウムとプロフェッサー・ミロドン
7 地の果ての火獣
8 巨獣の行進
9 五本指のウマとミッシングリンク
10 姿を見せないドーン・マン
11 獣ののナポレオン
12 愛と理論と
13 キノドンからスミロドンまで シンプソンの総合説
14 移動する大陸
15 祖先をたどって
16 動物相を吹き飛ばす衝撃
17 シェルハンターの逆襲
18 よみがえるシンプソン
19 キジルクム砂漠の風泥棒
20 蛇が差しだす果実
21 真猿類とめぐる抜きつ抜かれつ
エピローグ 新生代の自然公園
訳者あとがき
解説 小畠郁生
主な参考文献
原註

 イェール大学ピーボディ自然史博物館には、ザリンガーの手による巨大な壁画「爬虫類の時代」(33.5m×4.9m)、それには及ばないが同じザリンガーによる壁画「哺乳類の時代」(18.3m×1.7m)もある。この本には付録として「哺乳類の時代」のミニチュア複製もついている。

 この本は、その壁画に登場する哺乳類を横軸に、時代ごとの哺乳類ハンター(恐竜ハンターとも一部はダブる、マーシュvsコープなど)の闘争心むき出し、相手をいかに出し抜くか・落とし入れるかの争いを縦軸にしている(欧米の一般向け科学書ではよく見られる形式)。この本は後者に重点が置かれているので、つまり「科学者」が前面に出ているので、肝心の哺乳類の進化は背景に押しやられている。考えると、哺乳類の進化についてのまとまった本を読むのはクルテンの「哺乳類の時代」(平凡社、1976年)以来。でも、この本は前記のように哺乳類の進化を俯瞰する本ではないので、あまり哺乳類の進化についての知識は増えない。

2006年10月記

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