ダン・ブラウン 越前敏弥訳 角川書店
デセプション・ポイント上 ISBN4-04-791493-2 1,800円 2005年4月 |
デセプション・ポイント下 ISBN4-04-791494-0 1,800円 2005年4月 |
大統領選の一つの焦点がNASAにたいする支出だった。セクストン上院議員は反対派、大統領のザカリー・ハニーは賛成派。その大統領選のさなか、NASAが大発見をしたという。それをめぐる、虚々実々の駆け引き。本当の大発見か、誰かの陰謀か、それは何のためかということをめぐるジェット・コースター小説。
それなりにおもしろいのだが、主人公レイチェル・セクストン(セクストン上院議員の娘だが父を嫌っている、政府の情報機関の職員)やその仲間となる科学者たちが、プロのデルタワンたちの再三の襲撃にも耐えて、あるいは反撃するとかは、本当はあり得ないだろう。また、さすがに岩石・鉱物学者(もっと狭く隕石学者)は出てこないが、プロの学者であれば隕石かどうか、また自分に自信がなければ誰にアドバイスを受ければいいかはすぐにわかると思う。
ちなみにここに出てくる隕石の中の球粒はコンドリュールというもので、ケイ酸塩(ふつうの鉱物)の液滴が無重力状態で固化したものだと思われている。確かにそれが含まれていれば、隕石ということになるのだが…。
隕石についてはこちらを参照。
2006年1月記