万物の尺度を求めて

万物の尺度を求めて ケン・オールダー 吉田三知世訳 早川書房
ISBN4-15-208664-5 2,800円 2006年3月

目次
登場人物
プロローグ
第1章 北へ向かった天文学者
第2章 南に向かった天文学者
第3章 革命の度量衡
第4章 モンジュイの城
第5章 計算ができる国民
第6章 フランスの恐怖
第7章 ミッション、ついに収束
第8章 三角測量
第9章 科学の帝国
第10章 途切れた子午線
第11章 メシェンの誤り、ドゥランブウルの静穏
第12章 メートル化された地球
エピローグ 私たちの世界の形
謝辞
単位に関する注
訳者あとがき
フランス革命とメートル法普及に関する年譜
文献目録

出典についての注
 
 地球の形(が赤道方向に張り出した回転楕円体であること)を決めた1730年代の測量に続き、1772年からより精密な1mの長さを決めようとしたフランス。それを担った二人の天文学者(ダンケルクから南下したドゥランブウル、バルセロナから北上したメシェン)の動き・考えを軸に話は進む。

 革命の混乱した中を、測量して歩く苦労。測量が終わったのは1798年になっていた。この結果を基に、国際会議で1mの長さが正式に決まることになる。だが、バルセロナの緯度には誤差があり、測定したメシェンは苦悩し、それを隠蔽しようとデータを改ざんする。すなわち、ここで決められた1mの長さは、定義(パリを通る子午線の北極−赤道の1千万分の1)よりも少し短い物になってしまった。

 測量に使った精密な器具とその使用方法や、メートル法のその後にも言及する。

 今の1mの定義は、地球の大きさとは関係なく決められているが、「真空中で光が(1/299792498)sの間に進む距離」となっていて、時間の定義が別に必要である(1sは133Cs原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の9192631770周期の継続時間)。当時も、振り子の周期から1mを決めようとする考えもあったようだが、緯度(場所)により重力加速度が違うし、さらに時間が決まらないと長さが決まらないことを避けるために、地球の大きさから定義しようとした。こういう意味では、現時点では振り子派の勝利?

2006年4月記

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