東海村臨界事故への道 七沢潔 岩波書店
ISBN4-00-024133-8 2,600円 2005年8月
目次
はじめに
第1章 事故原因の究明は不十分だった
第2章 目的に合わない施設
−JCO転換試験棟改造の「不実」1983−86年−
第3章 動燃の発注の「変」とJCOの逸脱
−プルトニウム利用計画の迷走1992−96年
第4章 崩壊したJCOの安全管理体制
−電力自由化の中で 1995−99年
第5章 東海村臨界事故から学ぶもの
索引
筆者はNHKディレクターとして「東海村臨界事故への道」(2003年10月11日放映)を制作する。そのときの資料とさらに取材を重ねて本書を書く。被取材者には、作業していた3人の中で一人生き残った横川氏も含まれている。
作業員個人のミス、それも「バケツ」という形で矮小化・象徴化された公式事故原因に厳しく異議を唱える。そして事故は、国(科学技術庁(当時))、動燃(当時)とJCOの三位一体の構造の中でその下地がつくられていったことを明らかにする。
私も筆者と同様こうした体質は、核関連ばかりではなく、JRや自分の勤務先であるNHK、また他の組織にまでに浸透していることに危機感を持っている。まず正確な情報を公開し、起きてしまった過去から何をいかに学ぶのかが問われていると思う。
2005年9月記