古代出雲への旅

古代出雲への旅 関和彦 中公新書1802
ISBN4-12-101802-8 780円 2005年6月

目次
序章 現代・近世・古代の「三つの代」
第1章 玉造温泉へ 旅立ちの日
第2章 松江の古社と原風景 法吉鳥が鳴いた
第3章 嵩山の麓を巡る 子供と神
第4章 大根島から美保関へ 又右衛門との出会い
第5章 北浦から加賀へ行く 神々の浦浜
第6章 佐太大神の世界 目を覚ます神々
第7章 神々の「勢溜まり」 出雲大社
閉幕 歴史は出会い

 江戸時代末期の1866年、出雲の平田の裕福な廻船問屋小村和四郎重義は、「出雲風土記」に書かれている神社を巡ろうと思い立つ。

 このように、これは古代出雲の解説本ではなく、和四郎の旅の跡をたどる本である。江戸時代末期なので、当然風土記に書かれている神社で残っているものは少ない。だが、和四郎は想像力と直感で当時残っていた社と風土記を比定する。

 そのほか、親切な人々との出会いもある。しょっちゅう酒を飲んでいる。また、泊めてもらった民家で「客人(まろうど)」扱いされた話も出ている。江戸末期にはまだこのような風習が残っていたようだ。もっとも、獅子文六だったか、戦後間もない四国にもそのような風習があったことを書いていた記憶がある。

2005年8月記

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