核燃マネー

核燃マネー 青森からの報告 朝日新聞青森総局 岩波書店
ISBN4-00-022453-0 1,800円 2005年7月

目次
序章
第1章 根を張る財源
 1.自治体侵食する核燃マネー
 2.県が独占する核燃税
 3.津軽も潤す核燃サイクル推進特対事業
 4.取り崩しで揺れる水産振興基金
 5.民間投資縮小で建設業冬へ
 6.「丸投げ」批判浴びる電源地域振興センター
第2章 源流をたどる
 1.描いた夢、遠い現実
 2.「虎の子」の財源
 3.反乱の果実先細り
 4.政治的な思惑からむ「100億財源」
 5.地元企業参入に壁
第3章 傾ぐ政治
 1.減る工事与野党で奪い合い
 2.「国策」への知事の思惑
 3.立地の「恩人」に距離を置く業界
 4.NPO、PRの新たな受け皿に
第4章 マネーがもたらしたものは
 1.公共事業「偏重」
 2.やまぬ「補償依存」
 3.広がらぬ「裾野」
 4.イベント・広告費にコスト減
 5.「共存の道」険しく
 6.立地めぐりうごめく闇の金も
終章
 1.20年余でざっと3兆円流入
 2.依存体質からの脱却
 3.「地場産業」としてのリスク
 4.不透明さの払拭を
 5.目隠しをはずにには
 6.情報公開を勧めるスウェーデン
おわりに
略年表

 核半島下北を抱える青森。そこに大量に投入される核燃マネー。一度もらってしまえばどうしてもそれに依存してしまうようになる。一種の麻薬。表に出て見えるお金もあれば、「裏金」もある。

 不意に亀井静香の名前も登場する。彼ら政治家がどうしてお金をつくることができるかもわかる。つまり、他人より早く「おいしい情報」を入手できるのだ。彼は、地元に自分の息がかかった「警備会社」を紹介しようとする。抵抗しつつも、ある程度(資本参加)受け入れざるを得ない地元。

 過疎に悩み、これといった地場産業もない、むつ小川原開発は頓挫、当然県民の所得は上がってこない。こうした「弱み」につけ込む電力業界と政治。現在の制度では地元だけではいかんともしがたいだろう。

2005年8月記

戻る  home