人類がたどってきた道 海部陽介 NHKブックス
ISBN4-14-091028-3 2005年4月 1,200円
目次
はじめに
プロローグ
第1章 ホモ・サピエンス以前
第2章 ホモ・サピエンスの故郷はどこか
第3章 ブロンボス洞窟の衝撃 アフリカで何が起こったか
第4章 大拡散の時代
第5章 クロマニョン人の文化の爆発 西ユーラシア
第6章 人類拡散史のミッシング・リング 東ユーラシア
第7章 海を越えたホモ・サピエンス ニア・オセアニア
第8章 未踏の北の大地へ 北ユーラシア
第9章 一万年前のフロンティア アメリカ
第10章 予期しなかった大躍進 農耕と文明の起源
第11章 もう一つの拡散の舞台 リモート・オセアニア
エピローグ
参考文献
あとがき
ホモ・サピエンスの歴史と拡散をたどる。それ以前の人類史は軽く触れられているだけである。
すでにホモ・サピエンスのアフリカ単一起源説がほぼ動かしがたいところに来ている。あとは、そのホモ・サピエンスがなぜ、どのように世界中に拡散していったかであろう。いまだかつて、ホモ・サピエンスほど地球上に拡散した動物はいない。この本はその解説を試みる。
ホモ・サピエンスがいつ登場したのかも曖昧であるが、10万年前から30万年前というところであろう。アフリカ単一起源説がほぼ確実ということになると、ネアンデルタール人はやはりホモ・サピエンスとは少し違う、だから一時のホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスから、またホモ・ネアンデルターレンシスとなっている。
ホモ・サピエンスいつアフリカを出たのかもよくわからないが、5万年ほど前にアフリカを出たのであろう。シベリア超えなどで少し停滞したが、1万8千年前〜1万4千年前ころにはアラスカに到達し、あとは1000年ほどで南アメリカ南端に達したらしい。その過程でフィルター効果というべき現象が起き、かつての“文化”が必要がなくなれば失われていったらしい。
一番遅れて拡散が終わったのは太平洋の島々である。インドネシア付近を3500年間に出発したホモ・サピエンスは1600年前〜1300年前にはタヒチ、マルケサスに到達し、さらにそこから1300年前にハワイに、そしてようやく700年前にニュージーランドに到達した。ニュージーランドではその後まもなく“白人”も到達することになるのだが。
人類の歴史も参照。
2005年5月記